奈良【墨運堂・古梅園】にて試墨体験・工場見学に行ってきました♪

10月の5週目のお休みをいただいて
奈良墨の老舗、『墨運堂』と『古梅園』へ行ってきました!

1日目の『墨運堂』では
試墨(しすみ)と握り墨を体験、
2日目の『古梅園』では
念願だった工場見学と握り墨をしてきました♪

【墨運堂】
墨運堂は奈良で200年の歴史がある墨の製造会社です。
今回は午前中に墨の資料館にて墨作りの案内と握り墨体験、
午後は古いものから新しいものまで、試墨をさせたいただきました♪

奈良は日本の工芸発祥の地とされ、一刀彫、漆、茶筌、赤肌焼、筆づくりなど、古くから工芸技術が発達してきました。墨造りもこれら奈良の伝統技術と密接に関わって来ました。例えば、墨の金巻技術は墨に漆を塗り金箔を貼る事から始まり、また墨の木型は一刀彫の逆彫技法と言えます。これらの工芸技術が奈良の地に根付いているからこそ墨造りは発達したともいえます。墨運堂では平成6年より本社工場の一角に「がんこ一徹長屋」として当初6名の伝統工芸作家にご入居いただき、現在に至ります。

↓「がんこ一徹長屋」入口

↓伝統工芸の工房が集まった長屋

長屋をまっすぐ歩いた先に墨の資料館 <墨の歴史と墨作りの技が見れる資料館>がありました。
資料館は3階建てで、1階のエントランスには巨大な筆と硯がお出迎え♪


2階の展示室に上がると墨の香りが漂いはじめ、窓越しに墨造りの職人さんたちが墨を練る作業や型入れ作業に没頭しているのを拝見しながら、墨の歴史や原料、墨造りに欠かせない道具の話をしていただきました。

↓墨の原料や道具の展示

↓墨を固める際の木型

↓煤(すす)を取るための道具「どうき」

↓香料となる粉「龍脳」

↓木型

↓墨の製造工程を再現した木製のジオラマ

↓練りたての柔らかい墨を握らせていただきました。

↓握った墨をそのまま固めます。

↓桐箱に入れて持ち帰ります。(3ヶ月開けないように我慢です)

3階展示室では著名作家の書画作品や中国、韓国、台湾など海外の墨、墨運堂が誇る百選墨、題字墨、変形墨、記念墨、戯墨、彩墨を拝見しました。
↓階段を上がって直ぐのところには、墨と紙、硯、水(酒も)との関係を比較した書がずらりと並んでいました。

↓墨の変遷がわかる資料(固形墨と液体墨)

↓墨運堂が誇る百選墨(古墨から新墨まで)

↓記念墨

ここで午前は終了。案内いただいた方は参加者の様々な質問にも丁寧に説明してくださり感謝します。

↓ランチは近隣のカフェ「ホトケノネドコ」にて茶粥セットをいただきました。

↓午後からは別館の「永楽庵」にて試墨体験♪

沢山の墨(松煙墨や油煙墨/古い墨から新しい墨)を試し磨りし、色の出方や滲み加減を比較することができました。

今回は、4月にニューヨークに行かせていただいた際に民泊をご一緒した方からお誘いいただき、埼玉、奈良、愛媛、名古屋から総勢8名で参加させていただきました。午前午後と非常に実のある貴重な体験をさせていただき大変勉強になりました。
楽しすぎてあっという間の一日でした!

【古梅園】
古梅園は奈良で一番の老舗で、400年の歴史がある墨の製造会社です。
今回は飛び込みで伺ったにも関わらず、広報の方のご厚意で工場見学と握り墨体験をさせていただくことが叶いました!

↓古梅園入り口

↓古梅園店内

↓創業1577年 宮内省御用達の墨屋です。

↓工場入口

↓歴史を感じる門

↓下のレールは墨造りに必要な材料を運ぶためのトロッコ用のレールとのこと

↓「古梅園」の象徴となる梅の木

↓墨造りの第一工程となる「採煙」場へ。(煤を採る場所)

純植物性油を100個の土器に入れ、灯芯に火をともして土器の覆いをかぶせ、その内側についた煤煙をとります。煤のつき方が偏らないように20分おきに土器を回していきます。火の加減、油の量にも気を遣う非常に繊細な作業。

↓職人さんが灯芯を作る作業場

↓白くねじった灯芯は全て手作業で造るそうです。太さや長さによって煤の粒子が変わるとのこと。

↓土器に入れる油。この日は油煙墨ようの菜種油でした。

↓採煙の職人さん。

↓煤のつなぎとなる膠(にかわ)。動物の骨や皮から抽出した糊(コラーゲン)を固めたもの。ロバ、牛、馬、鹿等。

↓古梅園の墨で有名な「紅花墨」の美しい光沢は蛤の貝殻で磨きをかけたからとのことでした。

↓松煙墨の原料となる松ヤニ。

↓松材

↓中庭

↓さらに奥へ進みます。

↓膠を溶解する場。上質の膠を深さ30㎝ほどの「たんぽ」と呼ばれる銅壺に入れて、70度のお湯で時間をかけゆっくりと湯煎し、膠を溶かした液を作ります。

↓灰乾燥の場。木型から取り出した墨を水分の多い湿った灰から徐々に水分の少ない灰に一つづつ埋め変えていきます。この作業は墨の大きさによって1週間から40日ほど続けていくとのこと。地道な作業です。

↓一番古い灰は江戸時代からのものもあるとのことでした。線香のような落ち着く香りがしました。

↓レールで材料を運ぶ台

↓自然乾燥の場、灰乾燥が終わり、約7割の水分が除かれた墨は、藁で編んで天井から吊るし室内乾燥をします。通常約1ヶ月〜6ヶ月を要します。写真の墨は40年乾燥させたもの。非常に価値のある古墨です。

↓最後に握り墨をさせていただきました。

古梅園では、灰乾燥の工場で2ヶ月乾燥してから郵送してくださるとのことでした。


古梅園の広報の方も、非常に丁寧にご案内いただき有難い時間を過ごさせていただきました。

今回の奈良旅は、墨の知識を深める大変貴重な経験をさせていただいた大満足の旅となりました。
墨の製造期間は、暑気をさけて10月中旬より翌4月末頃までが最適な期間となるそうです。
この限られた期間に、採煙→膠溶解→配合・練り→型入れ→灰乾燥→自然乾燥→磨き→彩色という果てしない工程を経てようやく墨が出来上がります。
この一つひとつの工程を職人さん達が代々継承した秘伝によって、上質の墨を守りつづけられていることを知り、墨造りは大変尊いものだと感じました。

今回の旅を通して、改めて墨を大切に使わせていただきたいという思いが深まり、また、墨を磨ることの奥深さと楽しさをこれからも多くの方へ伝えていきたいと感じました。


ここまで拙い長文を読んでいただき、心より感謝申し上げます。

更新情報を受け取る