【書道を指導していてわかったこと⑨】書道は勝ち負けではありません。童話『ウサギとカメ』から学ぶ、目標の持ち方。

昔、自分の師からこんな問いをかけられました。

童話の『ウサギとカメ』
ウサギはどうしてカメに負けたのか?


直ぐには答えを教えていただけなかったので
それから毎日この問いについて考えました。

ウサギが油断しすぎたから?
カメの足が急に速くなったから?
カメがズルをしたから?
等、いろいろ考えましたが
全く答えが出てきません。



最終的には
ウサギがカメに負けた理由を
教えていただくことができましたが
当時はあまりピンときませんでした。



★童話『ウサギとカメ』のあらすじ
ある時、ウサギに歩みの鈍さをバカにされたカメは、山のふもとまでかけっこの勝負を挑んだ。
かけっこを始めると予想通りウサギはどんどん先へ行き、とうとうカメが見えなくなってしまった。
ウサギは少しカメを待とうと余裕綽々で居眠りを始めた。
その間にカメは着実に進み、ウサギが目を覚ましたとき見たものは、
山のふもとのゴールで大喜びをするカメの姿であった。
(Wikipediaより引用)

なぜ、ウサギは負けたのでしょうか?
なぜ、カメはウサギに勝てたのでしょうか?


このお話を読むかぎりでは
単純にウサギが油断して眠ってしまったから
ということになるのですが



内容を深く掘り下げると
答えはこのようになります。

ウサギ → カメを見ていたから
カメ  → ゴールを見ていたから



つまり
ウサギはカメに勝つことを目標にしていた
カメは歩みが遅くても山の麓のゴールを目標にしていた




この童話からは
・競争相手に惑わされない
・最終的なゴールは何かを見極める
ということが学べます。


書道の指導をさせてもらって約10年たった今、
ようやくその答えが腑に落ちました。



これまで書道の指導してきて

『あの子より上手になりたい』
『私はあの子より下手だ』


というように
自分と人を比べてしまう生徒さんが
少なからずいます。


『あの子より良い賞を取りたい!』
『他の上手な子に勝って学校で選ばれたい!』

という生徒さんもいます。
そういった気持ちになることはごく自然なことですし
目標を持つことはとても大事なことです。


賞を取ったり、学校で選ばれたら
それは嬉しいし、自信もつくでしょう。


でも
逆を考えると
賞を取れなかった時
学校で選ばれなかった時
どうなるでしょうか。


『めちゃくちゃ頑張って練習したのになんで???』
『やっぱり私はあの子より下手なんだ』
と、ものすごく落ち込みます。

さらには
『先生がもっと厳しく教えてくれなかったからだ!』
と、人のせいにすることもあるでしょう。


こういった
『人に勝つこと』を目標にしてしまうと
負けた時に自分を見失ってしまいます。



同じ『目標』でもその対象が
『他人』『自分自身』かで
自らが目指すゴールから
大きなズレが生じてしまいます。



当教室は
同じ目標でも
『人に勝つ』目標より
『自分に勝つ』目標を持つことの方が
大切だと考えます。



ここからは
兄弟で通ってくれている生徒さんの
実際にあったお話です。

ある日、二人とも学校で賞をもらってきました。
下の子の方が良い賞をもらってきて
上の子が下の子に負けたことが悔しくて
ものすごく落ち込んでいました。

上の子にはその時こう伝えました。

私『頑張ったね!』
上の子『・・・』
私『去年は賞をもらえたの?』
上の子『もらってない』
私『今年はもらえたんでしょ?』
上の子『うん』
私『去年の自分より成長したじゃん!!』
上の子『うん!』
私『書道は人に勝つことより
過去の自分に勝つことの方が大事なんだよ♪
自信持っていいんだよ!』

そう言うと、上の子は納得して
今でも元気に通ってくれています^^

そもそも書道は
『競争するもの』でもなく
『勝ち負け』でもない
と言うのが当教室の考え方です。



当教室は
カメのように
人と自分を比べず
成長した未来の自分を目標にして
ひたすら前を向き
コツコツ、コツコツと
自分のペースで歩める教室を
目指していきたいです。

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